はじめに

私、去年(1998年)の2月に結婚してフランスに新婚旅行に行ってきました。 私はまだハワイに行ったことがないのでハワイにしようと思っていたのですが、妻の強い要望によってフランスに行くことになりました。 もちろん妻は模型にも艦船にも全く興味が無いので、 パリでの1週間の滞在中は一般的なルーブル、オルセー美術館、ヴェルサイユ宮殿、エッフェル塔、エルメス本店めぐりをしました。 しかし、エッフェル塔に行く途中で海洋博物館に寄る許可を得ることができたのでパリの海洋博物館に行ってきました。 海洋博物館はセーヌ川をはさんでエッフェル塔の真向かいにあります。

訪問記

海洋博物館は地下鉄トロカデロ駅から徒歩で2、3分のところにあります。 パリの地下鉄では日本人観光客を狙ったスリが多発しているらしく、 地下鉄の駅構内で地下鉄を待っているとスリに注意するように呼びかけるアナウンスが日本語で流れてきたのでびっくりしました。 ルーブル美術館で｢スリにあったので警察署がどこか教えてほしい。｣と声をかけてきた日本人にも会いました。

かくいう私の妻も改札でスリにあいそうになりました。 パリの改札は自動改札なのですが日本と違って切符を入れてからバーを体で押して入場するタイプで、 バーを押すタイミングに若干こつがいります。タイミングを間違えるとバーが動かなくなるので、 そこでおどおどしていると助けるふりをしたスリに狙われるようです。

それではフランス人はタイミングを誤ることはないのかというと、 一回フランス人の女の子がタイミングを誤って入れなくなったのを見ました。 それで、その女の子がどのように解決したのかというともう1枚別の切符を入れて入場していました。 パリでは市内は地下鉄の料金が均一なので、みんなカルネという回数券を持っていて大抵は複数枚の切符を持っています。 ｢まあ、1枚くらい無駄になってもいいや。｣くらいの気持ちなのでしょう。

話を戻すと、 海洋博物館はトロカデロのシャイヨー宮にある4つの博物館(他は、映画、人類、フランス文化財博物館)のうちの1つです。 このシャイヨー宮とは1937年に開催されたパリ博覧会のパビリオンとして建てられた建物です。 私はフランス軍艦の模型が結構飾ってあるのではと思いカメラを用意して入場しました。 館内はフラッシュ禁止になっているのでフラッシュをオフにして目当てのフランス軍艦の模型を捜しました。 ところが私が行った時は丁度、軍艦模型が飾ってあるであろう場所が改装中でフランス軍艦の模型は館内には1つもありませんでした。 あったのは全て帆船か商船の模型ばかりでした。 大いに当てが外れた私は、結局1枚も写真を撮らずに30分くらい館内をぶらぶらしただけで出てしまいました。 しかし、ふと目を入口の横に目を向けるとそこにはNeptuniaという名前の売店があったのです。 売店には艦船グッズがたくさん売られていました。 第二次大戦中のフランス艦を描いた絵葉書や各種文献が置かれていました。 フランス艦の資料としては名高いMARINES社の本がほとんど全て売られていました。 リシリューの本が日本円で約1万円ちょっと、 駆逐艦ジャグアールの本が約5千円くらいと日本の約半分くらいの値段で売られていました(あんまり言うと洋書屋さんに怒られる)。 私が日本では見たことの無い空母ベアルンと水上機母艦コマンダン・テストの本や潜水艦シュルクーフの本 もありました。 珍しかったのは、この博物館に置いてあるであろう艦船模型(帆船や商船も含む)の図面が売られていたことです。 私は以下の第二次大戦中のフランス艦の図面を手に入れました。 戦艦リシリュー 戦艦ダンケルク 軽巡洋艦ジョルジュ・レイグ(ラ・ガルソニエール級) 練習巡洋艦ジャンヌ・ダルク 駆逐艦ル・テリブル(ル・ファンタスク級) 駆逐艦フーグー(ラドロア級) 植民地通報艦ブーゲンヴィル級 内容は1/300から1/100くらいの図面と模型の写真2、3枚からなっています。また、MARINES社の本も2、3冊買いました。

エッフェル塔から見たシャイヨー宮。左側の建物が海洋博物館 手に入れた図面各種や絵葉書。1冊平均100フランス・フラン(約2000円) 戦艦リシリューの図面と模型の写真

軽巡洋艦ジョルジュ・レイグの図面と模型の写真

また、1/1500くらいのメタルの艦船模型が100種類くらい売られていました。 英仏独伊の艦船だけでなく日米のものもありました。 若干興味がわきましたがメタルの艦船模型に関しては何も買いませんでした。 最後にフランス艦の絵葉書を買って売店を出ました。 妻は売店には一歩も入らずに外のベンチで待っていて、かなり待たせてしまいました(1時間くらい)。 でも怒られなかった。

行き方

パリの地下鉄(メトロ)6号線か9号線のトロカデロ駅で下車してすぐのところです。 開館時間は10:00-18:00、休館日は火曜日と5/1、入館料は38フランス・フランです。 去年(1998)手に入れた旅行ガイドの情報なので、 実際に行く時は最新の旅行ガイドで確認することをお勧めします。

パリにはこの海洋博物館の他に軍事博物館がありますが、 今回の旅行では軍事博物館に到着したのが閉館後になってしまったので結局入館することはできませんでした。 売店だけ見ることができたのですが、ナポレオン時代の軍事を中心とした博物館のようです。

むすび

最後にモン・サン・ミッシェルの寺院の写真をお見せします。 この寺院は大西洋に面した海岸近くにある島を土台にして作られたもので、 パリからはかなり離れたところにあります。 パリからバスで3、4時間かかるところなのですが、妻がどうしても行きたいというので行ってきました。 でも、行っただけの価値はあって宮崎アニメの｢天空の城ラピュタ｣を連想させるとても美しい寺院でした。 それにしても島を土台にして造ったと知った時に、思わず｢まるでFort Drum(注)みたいだ。｣ と思ってしまうとは、やっぱり私は一般人ではないんですね... そういえば、メーカー名は忘れましたがFort Drumのガレージ・キットが発売されていたと思います。 今回は艦船の話が少なくて申し訳ありません。

注:

マニラ湾に浮かぶEl Fraile島を土台に造られたコンクリートの要塞。 スペインとの戦争で1898年にフィリピンの所有権を得たアメリカがマニラ湾の防御のために造った。 完成は1918年。姿が軍艦に似ているので艦船ファンにはちょっとくるものがある。 "The Concrete Battleship by Francis J. Allen(ISBN 0-929521-06-4)"の本に詳しく歴史が説明されている。