艦船模型のボックスアートでお馴染みの上田毅八郎画伯の展示会が九段下のしょうけい館で開催されています。 しょうけい館とは平成18年3月に開館した国立の戦傷病者資料館です。 画伯の展示会は企画展ですが同館の二階には常設展示もあります。
先日、展示会に行き氏の絵を鑑賞してまいりました。 展示会場は撮影禁止ですので画像はしょうけい館の入り口だけにとどめます。

私は色調の美しい氏の描く絵が艦船模型のボックスアートの中では一番好きで、 かつては作り終わったWLキットの箱を集めたりしていました。 氏とは以前静岡ホビーショーでお会いしたことがあり、その時少しお話を伺う機会がありました。 その時どうやったらあれだけ見事な絵が描けるのかとお伺いしたところ、 「まずは船を立体的に理解することが必要だが、 そういった能力はあなた方模型を作られる方は既にお持ちだ。 だからあなた方にも同じような絵は描けますよ。」 と謙遜していらっしゃいましたが、 実際氏の描かれた原画を拝見してとてもそれだけではこれだけ緻密な絵は描けないと改めて認識しました。

氏は大戦中は戦場で熾烈な戦争体験をされました。 氏の描いた絵にバタビア沖海戦の米巡洋艦ヒューストンの絵がありますが、 氏は実際にヒューストンとパースが攻撃してきた時に戦場におられたようで、 「連合軍の巡洋艦が上陸中に乱入してきたが船体の色は真っ白だった。」とおっしゃっていたのを思い出します。 本当に氏は単なる海洋船舶画家ではなく大戦の生き証人です。 それだけに、氏の描かれる艦船の絵は真に迫っています(輸送船の絵が特にすごい)。

しょうけい館は九段下の6番出口から徒歩で1分の所にあります。5月20日まで開催しているようです。